物じゃ飯は食えねぇ、何よりも飯を食えるかだ、ごちゃごちゃ言わず売って金にしろ。
その通りだとは思いました。確かに物ではお腹は膨れない。わたしの部屋に詰まった大切なものは、あれば多少の金になる、ただそれだけのものだと、そう右からも左からも言われました。呪文のように繰り返し繰り返し繰り返し。
食欲なんてなくなればいいと思いました。お腹が空かなければ、何も食べずにすめばいいと。
わたしにとって、そのゴミのようなガラクタのような扱いをされている物たちはひとつひとつが大切で、何度も読み返したり、繰り返し聞いたり、観たり、眺めたり、なんでガラクタなんだろうと、想い出も、想いもこもった物たちがそんなに簡単に手放せるほど飽きたりはしていなくて、飽きるようなものは集めたりしていないないといったところで、それがどうしたと、鼻で笑われてしまう。
だから違う方法を考えた、必死に。けれどあなたには無理だと即答された。そんなことより物を売れと。都合よく年齢を使われ、矛盾してようが、言い返せばそれは全部屁理屈だと言われる。
だから飛んだ。消えられないと分かっていたけれど、飛んだ。けれど無意味だった。必死の抵抗も、わたしに対する嫌がらせか、と怒鳴られた。毎日毎日怒鳴られて、なんでそんなに体調が悪いのか、と顔を覗かせる。言葉が通じないからだ。城だと思っていたら、檻に変えられていた。許されるのは病院。あとはなぜその場所に行くのか睨みながら聞かれる。
疲れた、酷く疲れた。楽しく暮らしたいから、そのためにどうすればいいか考えた。あなたの体調じゃ無理でしょ、と突き飛ばされた。
言われた言葉が頭の中をぐるぐると回る。繰り返される。わたしがしたことはわかっている、だから、自分でどうにかしようとしている。
通じない。あなたは普通じゃないんだからと言われた。知ってる。そんなことは誰よりも実感している。それを突きつけるのか。普通なあなたが。それで傷ついたら悲劇のヒロイン気取りかと怒鳴られる。
わたしに感情はいらないのか、なぜ話を少しでさえ聞いてくれないのですか。人形になれと、あの頃みたいに、道化の人形になれと、また押し付けるんですか。
また、泣かなくなるんだろうか。
今日も雨
城が崩れていく