おまえのにっきだよ

28歳、メンヘラ日記

雨はやまない

大声で叫び散らしても、かき消されそうな音が、雨音が響いている。ボロ屋のこの家にはバケツが所々に用意されていて、そこに規則正しく雨漏りの音を立てに、じんわりと天井を抜けてくる、雨。窓の外は昨日と同じ雨だ。一昨日も、その前も、いまいち思い出せないが。

頭が重たく、ずんっとナニかがのしかかってくる。慣れたわたしは抵抗することもなく、舞の日課であるコーヒーを入れる。安いコーヒーだ。お湯を注ぐだけの。親が沸くまでの間、タバコに火をつけた。自分の頭と同じようにずんっと吐き出された煙は、辺りに重たそうに広がった。ふぅ、ため息をついたと同時に、ピー!とお湯のわく音が重なり、少し驚き方を揺らした。それも一瞬で、毎日に戻るためにコーヒーをカップに注ぎ始める。タバコをくゆらせ、ホッと一息息を吐き、熱いコーヒーをゆっくりと飲む。けして慌てずチビチビと。コーヒーを飲みながら考える。憂鬱な時に雨が降るのか、雨が降る時に憂鬱になるのか。答えの出ぬままコーヒーを飲み終わる。これも毎日のことだ。考えても答えが自分で出せないことを考える。時計を見るともう七時だ、準備しなくては行けない。雨漏りの部屋を置いて、着替え始める。ある程度終わったところで満足したのか、よしっと小さい声で言い、そのあとまたため息をついた。そっと玄関の扉を開ける。雨だ。

今日も雨明日も雨さ、明々後日も。決まりきったことに1つ舌打ちして、ドアをパタンと閉じた。いつからなのか、それが思い出せないでいる。だからまた今日も昨日の繰り返しが始まる。

 

雨はやまない